干瓢ができるまで
ふくべ(瓢)の収穫
6月の中旬より開花する干瓢は夕顔の一変種ですから、夕方開花して明け方花はしぼみます。花がしぼんでから2週間から3週間経つと約7~8kgの果実になります。
この夕顔の実を、栃木県では、ふくべ(瓢)と言います。
↓
干瓢むき
ふくべを機械にかけてひも状にむき、それを1.8m~2mの長さに切っていきます。生産時期の7~8月の二ヵ月間は、朝3~4時に起きて剥き作業を行います。
↓
干瓢干し
1.8m~2mの長さに切ったものを、竹棹にかけて2日間かけて乾かしたものが干瓢です。天日干しを行う為、晴れる日を予想して剥きます。雨が多いと不作となります。
干瓢の由来
栃木県の干瓢は全国的に有名で、主たる生産地は、上三川町・壬生町・下野市等に及びます。1712年、壬生藩主であった鳥居忠英公は、領内の産物の生産性の低劣に手を打つべく、また農業政策の重要性を痛感し、郡奉行松本茂右衛門に干瓢による振興策を命じました。
茂右衛門は江州(滋賀県)伊賀郡から干瓢の種子を取り寄せ、その種を黒川の流れの東西の名主に渡し、試作させました。
しかし、川西は不成功に終わり、川東の藤井村で名主篠原丈助が成功させました。
干瓢の生産は特に天候と地質の影響を大きく受けますが、長い間、天と地の試練と戦い、工夫改良を重ねて現在の栃木の干瓢が作り出されたのです。
干瓢の栄養素
栄養的にカルシウム、カリウム、リン、鉄が多く含まれています。
また、現代の食生活に不足しがちな食物繊維を多く含む低カロリー食品として注目されています。便秘がちな方、妊産婦、お年寄りにも最適な食品です。
日本栄養士会編(100g)
カロリー | 261 |
---|---|
蛋白質 | 7.1 |
脂質 | 0.2 |
糖質 | 37.8 |
ナトリウム | 3 |
食物繊維 | 30.1 |
カルシウム(漂白) | 250 |
カルシウム(無漂白) | 375 |
食塩相当量 | 0g |
リン | 140 |
---|---|
鉄 | 2.9 |
カルシウム | 1800 |
ビタミンB2 | 0.04 |
ビタミンB3(ナイアシン) | 2.7 |
ビタミンE | 0.2 |
水分 | 19.8 |
灰分 | 5 |
食物繊維量の比較
日本食品食物繊維成分表(g/100g)
干瓢 | 30.1 |
---|---|
ごぼう | 8.5 |
ブロッコリー | 4.8 |
ほうれん草 | 3.5 |
春菊 | 3.2 |
野菜類のミネラル量の比較
日本栄養士会編(mg/100g)
カルシウム | リン | 鉄 | カリウム | |
干瓢 | 250 | 140 | 2.9 | 1800 |
ごぼう | 49 | 60 | 0.8 | 330 |
ブロッコリー | 49 | 120 | 1.9 | 530 |
ほうれん草 | 55 | 60 | 3.7 | 740 |
春菊 | 90 | 47 | 1.9 | 610 |
干瓢の状況
栃木県産干瓢の状況
栃木県産干瓢の作付け面積、生産数量は、昭和53年(1978年)の3,040ha・5,080tをピークに減少しており、令和元年(2019年)の作付け面積、生産数量は108ha・260tと全盛期の20分の1程度になってしまいました。
安定した高収入を得られ、栃木県の特産品である干瓢を農家の方々に生産奨励をしておりますが、作業の重労働、生産者の高齢化等でこれからの大きな増反、増収量は望めない状況です。
栃木県産干瓢の国内生産シェアは約95%です。特産品の生産を維持拡大して行く事が課題です。弊社でも、2011年より毎年、自社畑にて干瓢生産を行っております。ご興味のある方は、何なりとお申し付けくださいませ。
中国干瓢の状況
中国からの干瓢輸入は、昭和57年(1982年)に73tが入り、その後増加して、令和元年(2019年)には1,103t輸入されました。
※ピークは平成11年(1999年)の3,787t
中国産の生産地は以前は山東省・遼寧省の都市部近郊でしたが、近年は吉林省・黒龍江省と奥地に移っております。余りにも産地が広範囲になっており、作付面積の実数を把握出来ないのが実情です。単価につきましては、主に中国側の人件費の高騰に伴い、価格は上昇傾向です。
最新情報は、ホームページリンク先のかんぴょうブログをご覧ください。